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2007年5月21日 (月)

exhibition×100 in LA

Img_0798


(写真に意味はありません。でも、ギャラリーの照明ってじーっと見てるとなんかせつなくならないっすか?作品見れ、っていう話もあるけど。)

ロサンゼルスに1週間滞在した。
そして、ものすごく、ほんとにものすごくたくさんの展覧会を見た。
タイトルは、決して言い過ぎじゃないと思う。
先に、100個の展覧会の感想の平均を言っておくと、
全てにおいてお金が「まあまあ」かかっている以外は、とくに驚くことは何もありませんでした。

なんで、こんなにまわったのかと言うと、
展覧会をしませんか、という話があり、そのための
アイデアのヒントのようなものが必要だったという感じ。

簡単に話を振られても、僕の仕事の仕方では対応できない。僕は、展覧会なりプロジェクトをする時は、その街のこと、とくに文化的なシステムをリサーチする所から始める。それをよく理解したうえで、そのシステムに対して介入すること、あるいはそのシステムの構造を明らかにすること、そのシステムを改変してしまうことを考える。福岡とマニラにオルタナティヴ・スペースを設立するというプロジェクトでは、その街のアーティストにとってそれが絶対的に必要だと確信するに至るまでの長い調査をしているし、それらは逆にその街の美術館システムの機能不全を明らかにしている。同時にこの二つのスペースは、まったく新しい変な文化が生まれるための猥雑なダイナミクスのようなものを保持している。つまりアートの「外」を思考/志向している。こういう実践的な、たいしてコンセプチュアルではないけれど、決定的に機能するようなプロジェクトをしていく、というのが僕のキュレーターとしての信条であり真情なわけで。

ということで、いきなり「なんかやってー」って言われても、「いやLAのことなんにも知らないし無理」っていう感じなんだけど、信用している人からの誘いだったし予算も準備してくれたりしてるわけで、そういう場合は絶対断らない。予算安いけどね。ということで、無茶苦茶調査したわけです。

まず、この過程でわかったことは、「美術業界人」として、短期間の調査をするときに見えてくる風景は、美しくないということです。美術館、大きなアート・インスティテュートを絶対に押さえつつ、有力なギャラリーをチェックして(僕はギャラリーエリアにあるのは全部見たけど)、その上で地元で話題になっているプロジェクト・スペースやオルタナティヴ・スペースも訪れる。その過程でキュレーターやアーティストに会って、面識を深めるという作業。週の前半はこれを完全にやろうと思ってやってみたんだけど、ぜんっぜん面白くない。肩書きがある程度の関係性を決定してしまうというのも僕には居心地が悪い。つまり「日本からACCで来ている若いキュレーター」という僕の立場で、会える人/会えない人/相手の対応などがほぼ決まってしまうというのがどうも納得がいかない。実社会ってそんなものなんだろうけどね。

ということで、頑張りすぎて風邪ひいてへろへろになりながらも週の後半は、もう少し別のアプローチをすることにする。コリアンタウン、ジャパンタウン、フィリピンタウン、ブラックのゲットー(ほんとに映画「RIZE」みたいな状況だった…)をまわり、その街で一番地元の人の評判がいいレストラン/定食屋/居酒屋に行く。ソウルフードってやつですね(風邪を無理矢理治すという効用があります)。この作業で、なんとなく民族地図/階級地図のようなものができあがる。マイク・デイヴィスの「要塞都市」を思い出したり。

んで、最後に「友達の友達はみな友達だ」方式でアーティストのスタジオ訪問をしまくる。言い換えると移動式タモリ。
「ちょっと仲のいいおもしろアーティスト紹介してよ!」
「あ、もしもし○○に紹介してもらったんだけど。いまから行っていい?」
「いまダメなの?じゃあ明日でもいいよ!Are you OK?(いいかな〜!)」
という感じで進めたんだけど、テレフォンショッキングであれば単線のところが、途中から複線化して、っていうかツリー状に広がっちゃって、超大変になった(笑)。結局、会えなかったアーティストもいて、これは反省だな。くだらない商業ギャラリーなんか行かずに、もっと早くこれをやっておけば良かった。こういう方法を取ると、「日本からACCで調査に来てて云々」よりも「なんか変な日本人が来てるんだけどさー」っていう紹介のされ方をするので、謎の要素が導入されてアーティストとの関係の取り方もグルーヴが出てきて楽しくなる。ポートフォリオとかは一応しっかり見るけど、それ以外のところで音楽や映画の話で盛り上がったりして、結局、そうやって普通に関係を深めていく方が僕には合ってるってことなんだと思う。そして、一緒にプロジェクトをすることでその関係を社会化する。

まとめると、「アート」というシステムの内部に収まるような調査も、展覧会も、プロジェクトも僕にはできないってこと。そんな偉い立場にもいないし、お金もないし、そもそも面白くないし。インディペンデントなんだっていう矜持もある。普通の調査をしても、プロジェクトのアイデアは全然出てこない。

ほんとうは、LAでみた展覧会全てを、このブログに克明に記録したらものすごい情報量になるし、「うわー遠藤、むっちゃしっかり調査したね」っていうことも示すことが出来て、このブログ本来の目的にも適ってると思うんだけど、僕はここで大きくシフトすることにします。これを読んでてLAのアート情報が欲しい人は、僕にメールすればいいじゃん。僕が知らないことでも人を紹介することは出来るし。むしろ圧倒的な情報を提供して、その内容とリアルに触れ合う回路は「特権的な人」だけが握っていて、普通の人はそれを「すごい、これが本場のアートか」みたいに受容するっていうありがちな構造を反復したくない気持ちが、異常に強くなってきた。


ということで、ここでブログの本来の主旨が破綻!
次回からどうしようかな。


あ、一応やっぱ情報を提供しておくと、
フェミニズムとアートに関心のある人はMOCAで行なわれていた「WACK! - Art and the Feminist Revolution」っていう展覧会のカタログを買った方がいいと思います。良い展覧会だった。
http://www.moca.org/wack/

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